「真・空間交響楽」展を開催する 牛建 務さんへ

「真・空間交響楽」展を開催する 牛建 務さんへ

 

1993年秋、日本に戻ったばかりのデザイナー牛建務は、AXIS Annexにて

「メタモルフォーゼ~未来からの現実」展を行った。

あれから偶然にも20年の時を経て2013年秋、「真・空間交響楽」展を

開催する。

 

20年という時の流れには、成人式は20才で、伊勢神宮式年遷宮も

20年毎というように、人生の一つの区切り、その目安みたいな意味を感じる。

 

日常は平凡なものだ。

単に日々の積み重ねだと思うのだが、改めてこの20年間を振り返ると、

その変化には驚かされる。

ポケベルで呼び出され、公衆電話を探しに走った身としては、

まだまだ特殊なものだったパソコン、メール、ケータイ。

まさにIT革命だったものがIT日常となり、コンビニの隆盛で空腹を感じることもない。

便利になったものだ。

 

だが、この効率の良い「便利」と引き換えに、手間ひまのかかる「不便」なものは

片隅に追いやられてしまった。

安心・安全・清潔なヒト・モノ・コトが溢れかえっているが、本音で語り合う、

ホンモノを見極めるなんてことは、肩身が狭くなっている。

うすっぺらな世の中。

僕たちは、そこに異議申し立てをしたい。

 

異議申し立て。かつて怒れる若者たちだった僕たちの日常。

映画館のスクリーンに向かって「異議ナーシ!」って叫んだものだった。

 (若気の至り。)

いま、このストレートな怒りが必要なのではないか。

これから20年、そのまた20年と生きていく若者たちに、この怒りの正体、

本質を伝えていくべきではないか。

 

牛建務は、この20年、日米のデザイン感覚の違いに苛立ってきた。

怒りすらあったろう。

その思いを、自身が大切にしてきて今忘れられようとしている「真空管」に、

新しい生命を与え、再生しようとすることで伝えようとしている。

 

そういう牛建務を、僕たちは応援する。

2033年を生きる、怒れる若者たちを想像しながら。

 

 

「真・空間交響楽」展 企画構成

  ワタナベラジオ